計画研究: A02
原子炉ニュートリノを用いた基礎科学および応用科学
A02班の研究
フランスのショー(Chooz)にある原子力発電所で発生するニュートリノを検出するダブルショー(DoubleChooz)実験を推進。第3の振動モードを測定し、混合角を精密に求める。さらに、加速器実験の結果と組み合わせて、CP対称性の解明をめざす。国内では、ニュートリノ検出器と同じ原理による小型検出器を開発し、原子炉の運転状況をモニターする装置を開発している。
この研究の魅力と今後
ニュートリノは物質とほとんど反応しないので、それを探すというのはとてもワクワクします。そもそも、どういうニュートリノを大量に用意して、どういう物質に当てて観測すればいいのかをニュートリノ研究者は地球規模で考えています。原子力発電所を利用するのもアイデアの1つで、加速器のようにニュートリノ研究専用のものではありませんが、無料で使えて世界中で測定することができます。そのほか、宇宙から到来するニュートリノをとらえる方法、南極の広大な氷を測定物質として使う方法、地中海の海水をターゲットとするといったダイナミックな方法もあります。まだこれからも、若い人たちのユニークなアイデアが革新的な実験を生みだす可能性を秘めています。
こうした世界中のニュートリノ検出器の成果を総合して1つの物理の描像を結ぶところも大きな魅力です。今後、CP対称性の破れの測定に成功し、さらにニュートリノの質量のパターンと絶対値が測定できれば、標準模型のさらに外側にある新しい物理モデルの発見につながっていくと思います。
久世 正弘
さらに詳しく知りたい方へ
関連サイト
研究実績リスト[http://dchooz.titech.jp.hep.net/A02publications.html]
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