計画研究: B02 宇宙背景ニュートリノの崩壊探索に用いる超伝導赤外線検出器の開発


 本研究では,宇宙背景放射と同様に宇宙初期に生成され,宇宙空間に一様に存在すると予言されている「宇宙背景ニュートリノ」の崩壊探索を行うために,ニュートリノ崩壊時に発生する遠赤外線(Eγ~数 10meV)のエネルギーを一光子ごとに2%以下の精度で測定する超伝導トンネル接合素子(Superconducting Tunnel Junction, STJ)検出器を開発する。Left-Right Symmetric Modelでは,ニュートリノの寿命は最短でτ=1.5 x 1017年となるが,そのような宇宙背景ニュートリノの崩壊からの光子は口径 20cm・視野 0.1度の望遠鏡と赤外線検出器を搭載した人工衛星で6 時間観測することによって, 有意度 5σで検出できる。この赤外線検出器として,NbとAl を超伝導素材とする多チャンネルSTJ 検出器と分光素子を組み合わせた観測装置の開発を行う。Nb/Al-STJ 検出器の構㐀は,2層のNb薄膜の間にAl薄膜層とAlOxの酸化絶縁膜が挟まれたNb/Al/AlOx/Al/Nb サンドウィッチ構造である。本研究では,多チャンネル Nb/Al-STJ 検出器と分光素子を組み合わせた観測装置の設計・開発・製作を行い,平成28-29年度にこの観測装置を搭載したロケット観測実験を行う。以上のNb/Al-STJ 開発・製作と並行して,将来の人工衛星搭載実験に向けたエネルギーギャップの極めて小さいハフニウムを用いた Hf-STJ についても衛星搭載実験用の光学系を含めた観測装置の開発研究を行う。


関連サイト
研究実績リスト[https://hep-www.px.tsukuba.ac.jp/twiki/bin/view/STJ/StjTalksPub]