計画研究: A01
加速器ニュートリノビームによるニュートリノフロンティアの展開
A01班の研究
ニュートリノ振動の精密な測定を行うため、大強度ニュートリノビームをJ-PARCからスーパーカミオカンデまで飛ばすT2K実験を進める。2013年7月には、ミューニュートリノから電子ニュートリノへ変化する第3の振動モードの存在を確実にした。今後は、ビーム強度と測定精度をさらに向上させ、第3の振動モードの精密測定と反ニュートリノ振動の測定に取り組む。
この研究の魅力と今後
ニュートリノはその観測が難しく、実験精度を上げるのが非常に難しい研究対象です。それゆえ、挑戦のしがいがあります。素粒子は小さな対象でありながら、その観測のためには巨大な実験装置が必要であったり、大きなスケールの観測(例えばT2K実験はニュートリノを295km飛ばして、その変化を観測する)が必要であったりと、小さい対象と大きなスケールという組み合わせも興味深いですね。
この5〜10年は、ニュートリノ振動現象をより研究することで、3種類のニュートリノの質量順序が分かり、ニュートリノと反ニュートリノの間の対称性、CP対称性の研究が大きく進むことでしょう。また、ニュートリノと反ニュートリノが同じ粒子かどうか調べる研究も重要です。
このような研究を通して、ニュートリノ研究から「力の統一理論(大統一理論)」へのヒントがつかめるかもしれません。発見を確約することはできないですが、ニュートリノの周りには「大発見の可能性が」たくさんあります。
中家 剛
さらに詳しく知りたい方へ
関連サイト
研究実績リスト[http://www-he.scphys.kyoto-u.ac.jp/nufrontier/files/a01-gyoseki.html]
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