計画研究: B01 超高解像度ニュートリノ検出器の開発


 本研究では、タウニュートリノの検出やその出現の検出によりニュートリノ振動の最終検証に貢献してきた原子核乾板技術をさらに発展させ、将来のニュートリノ研究:CP対称性の破れや標準理論の枠組みを超えた物理の探求に引き続き貢献できるものとする事を目指す。
 我々は、主要な写真会社が、写真のデジタル化によってフィルム開発を縮小してゆく中で、一昨年から富士フイルム OB の技術者の協力の元、大学に乳剤製㐀装置を設置し原子核乾板の独自開発を行って来た。これまでに従来比約 3 倍の高感度の乾板、またメーカーでは実現できなかった 30nmの微結晶からなる高分解能乾板の実現に成功した。
 これをさらに発展させ、①研究目的に最適な乾板の開発/供給体制を確立。②結晶微細化により位置分解能を向上させ、高感度化により物質量を削減し飛跡検出に最適化し、タウ粒子検出能力・運動量測定能力を強化する。乾板量の削減はコストダウンにつながり、大規模化を容易な物とする。また③磁場を併用し ν-νの識別能力を付与、電子ニュートリノを含む全種類のニュートリノを同定できる検出器とする。この検出器は、研究で使用するニュートリノビームの組成の把握、低エネルギーニュートリノ反応の詳細研究、ντ反応断面積の精密測定、振動解析やNon Standard Interaction の探索に活用できる。開発される乾板技術は、宇宙の暗黒物質の検出や、ダブルβ崩壊実験、高分解能γ線望遠鏡、宇宙線ラジオグラフィーなどへの応用が期待できる。