今、素粒子物理学と宇宙物理学は大きな転換期にあります。素粒子物理学の「標準理論」は加速器の発展によりTeVのエネルギースケールまでの広い範囲で検証され、理論の予想値と実験の測定値が驚くほど良く一致しています。「標準宇宙論」は、宇宙の進化における元素合成を説明する一方で、暗黒物質・暗黒エネルギーの存在を揺るぎないものとしました。しかし、宇宙に存在する物質・反物質非対称性の起源、暗黒物質・暗黒エネルギーの正体、インフレーションの起源、力・物質場の統一像などは「標準理論」、「標準宇宙論」では説明できません。宇宙の初期から現在に至る描像を統一的に理解するには、物理学の革新となる「新しい素粒子、宇宙像」が必要と考えられています。本領域では、これら未解決の課題を解決するために重要な鍵となる素粒子「ニュートリノ」を研究することで、「新しい素粒子・宇宙像」の創造に挑戦します。