計画研究: 技術開発
B01: ニュートリノはマヨラナか? 希ガス検出器による革新的測定法の開拓
ニュートリノがマヨラナ粒子であるのか、すなわち自身が反粒子であるという性質をもつのかどうかを検証するための「ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊探索」および暗黒物質の地上での直接探索では、背景事象を厳しく抑えつつ検出器を大型化することが鍵となる。本研究では、キセノンガス検出器により現存技術の限界を打破するような野心的革新的な測定原理の開発に取り組む。シンチレーション光検出による事象の時間幅情報を用いた二重ベータ崩壊とガンマ線背景事象選別、ベータ線による電離で生成された陽イオンを独自の方法で検出することによるベータ線飛跡の空間分解能向上、白鳥座の方向から到来すると考えられている暗黒物質により反跳される超低エネルギーな原子核の方向を測定するための電離電子の再結合の測定などの新しい測定原理の開発に挑む。また、ガス容器を新素材により極薄化あるいはシンチレーション素材によりアクティブ化する、回路素子を集積化させることで低放射化に特化した信号読み出し回路を製作する、などの背景事象源自体を抑制する技術の開発も行う。
B02: ニュートリノ精密測定にむけた原子核乾板開発
原子核写真乾板を用いて、ニュートリノと原子核の反応の詳細な測定、ニュートリノ反応で生成されるチャーム粒子の崩壊探索、ニュートリノの生成の不定性を抑えるためのハドロン反応の理解に向けた実験が計画されている。測定が精密化、大統計化されるに伴い、原子核乾板の性能の高いレベルでの均一化、取扱いの簡便化が求められている。本計画では原子核乾板の大量塗布技術の確立、長期安定性の向上を行い、上記の実験に適用する。また将来の大規模実験に向けて、原子核乾板乳剤製造装置を実験場(またはその近く)に持ち運び製造できるシステムの構築を行い、古くて新しい超高分解能検出器原子核乾板を、汎用化し応用を広げる。