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計画研究: 理論研究

 C01: ニュートリノで探る対称性と宇宙像
 C01班では対称性を軸とするトップダウンのアプローチで「標準理論」および「標準宇宙論」を超える究極理論の足がかりを得ることを目指す。
 高エネルギースケール(=究極のスケール)の物理の法則に内在する基本的対称性は、よりマクロな系である低エネルギースケールの物理の観測可能量に特異な関係を与える。したがって対称性は、直接観測が困難な高エネルギースケールの物理を考える上で有用かつ不可欠な概念である。ニュートリノはフレーバー(種類)、CP(荷電×パリティいわゆる物質反物質対称性)、パリティ、レプトン数、バリオン数、ローレンツ不変性といった時空と物質の基本的な対称性と深く関わっている。本研究ではこれらの対称性と高エネルギースケールの理論の対称性の関連性を追求し、宇宙の成り立ちを支配する物理法則を探っていく。


 C02: 標準理論を超えた新現象とニュートリノで探る新しい素粒子像
 C02班では、最新の実験データが示唆する素粒子像をボトムアップに研究する。ニュートリノが質量を持つということは、素粒子物理学において確立している標準理論では説明のつかない現象であり、標準理論を超えた新しい物理が存在する確かな証拠である。ニュートリノ質量の精密検証の進展に呼応して、その質量の小ささや大きな世代間混合を説明する数多の理論が構築されてきた。さらに、宇宙における物質反物質非対称を説明する未知のCP対称性の破れや暗黒物質の存在により標準理論が不完全であることは揺るぎないものとなった。実験ではミューオンの磁気能率、陽子の荷電半径、中間子系でのレプトンユニバーサリティなどで標準理論からのずれを示唆する結果が報告されている。そこで、本研究では標準理論を超えた新現象および異常事象を説明する多様な新ニュートリノ理論の構築を行う。また、それらの理論による予言、とくにニュートリノ質量模型の系統分類をすることで、新しい検証方法の提案を行い、正しい理論を区別する道筋を確立する。保存則や普遍性の破れを引き起こす新物理とその検証方法についても研究を行う。

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