京都高エネルギー研究室 ニュートリノグループ


新型粒子識別アルゴリズム(fitQun)の開発

fitQunとは ?新型再構成アルゴリズム-

スーパーカミオカンデやハイパーカミオカンデのような水チェレンコフ検出器は光検出器が受けたチェレンコフリ光を用いて荷電粒子の種類、エネルギー、生成場所などを再構成して、元のニュートリノあるいは崩壊した陽子を検出する。
従って、事象再構成プログラムの性能は水チェレンコフ検出器全体の性能に大きい影響を与える。事象再構成の精度を向上し、ニュートリノ質量階層性や陽子崩壊などの新物理の検出感度をあげるため,新しい事象再構成プログラムの開発を進めている。

fitQunと従来型アルゴリズム(APFit)の違い

今まで動いている再構成アルゴリズムは、各光電子増倍管のHit情報(電荷・時間)から段階を追って,粒子の種類、エネルギー、生成場所を決定する。流れはわかりやすいが、前のステップで生じたバイアスは後のステップで直しにくい。今開発している新しい再構成アルゴリズムは全光電子増倍管の情報を元に、すべての粒子の場所、方向、運動量といった変数を最尤法で同時に再構成する。
この方法を用いて、事象の再構成で利用する情報が多くなって、バイアスが少なくなり、精度良い事象を再構成できる。

現段階のスタディ

スーパーカミオカンデは1996年に稼働を始めたから、アップデートやメンテナンスにより、四つの段階にわけた。
fiTQunは最新の段階(SK4)に向けた開発したので、古い段階にそのまま運用できない。その理由は、SK4ではQBEE (QTC Based Electronics with Ethernet)をデータ読み出しシステム(DAQ)として使っていますが、SK1~3のDAQはATM (Analog-Timing-Module)である。
QBEEはDead Time Freeだが、ATMはケーブルの反射による信号が多いので、Trigger LogicでCutをかかって「Dead Time」がある。従って、同じ物理事象に対しても、Hitの分布が違っている。
特別なHits Selectionを使って、fiTQunがうまく働くようになった。