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physics:homeworks [2017/06/02 08:54] ichikawa |
physics:homeworks [2020/07/14 02:10] (現在) ichikawa [問題 21] |
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- | ====== 宿題-1 ====== | + | ====== 問題-1 ====== |
- 教科書を読んで、ニュートリノとクオークないし電子との荷電カレント反応の断面積をE_labないしsの関数として導出せよ。教科書を読んだのち、(数式を使わなくてよいので)どうしてそうなるのか、自分の言葉で語れるようにすること。 | - 教科書を読んで、ニュートリノとクオークないし電子との荷電カレント反応の断面積をE_labないしsの関数として導出せよ。教科書を読んだのち、(数式を使わなくてよいので)どうしてそうなるのか、自分の言葉で語れるようにすること。 | ||
- ニュートリノ-クオーク散乱と反ニュートリノ-クオーク散乱の断面積の比は? 教科書を読んで理解したのち、どうしてそうなるのか自分の言葉で語れるようにすること。 | - ニュートリノ-クオーク散乱と反ニュートリノ-クオーク散乱の断面積の比は? 教科書を読んで理解したのち、どうしてそうなるのか自分の言葉で語れるようにすること。 | ||
- 2世代のニュートリノ振動確率の式を自分で導出すること。また、その物理的描像をイメージできるようにすること。 | - 2世代のニュートリノ振動確率の式を自分で導出すること。また、その物理的描像をイメージできるようにすること。 | ||
- | ====== 宿題-2 ====== | + | ====== 問題-2 ====== |
- ニュートリノ振動の振動確率は、ニュートリノ間の質量の二乗差Δm2の関数であるのに対しBやK中間子の振動では、中間子間の質量差Δmの関数になっているのは何故か? | - ニュートリノ振動の振動確率は、ニュートリノ間の質量の二乗差Δm2の関数であるのに対しBやK中間子の振動では、中間子間の質量差Δmの関数になっているのは何故か? | ||
- νμ→νeによりCP非保存を測るのがT2K実験の第2期の目標であるば、もっと統計の多いνμ disapparanceを使った場合のCP非保存へのsensitivityは? | - νμ→νeによりCP非保存を測るのがT2K実験の第2期の目標であるば、もっと統計の多いνμ disapparanceを使った場合のCP非保存へのsensitivityは? | ||
- 原子核のフェルミガスモデルを勉強し、理解せよ。 | - 原子核のフェルミガスモデルを勉強し、理解せよ。 | ||
- | ====== 宿題-3 ====== | + | ====== 問題-3 ====== |
FADCで、矩形波のデータを取った場合を考える。実際には、矩形波にノイズが乗っている。矩形波の波高を算出すために、rootを使って平らな部分を直線でフィットした。 フィット結果には、誤差がついているが、この誤差は、どのように算出されたものか、述べよ。 | FADCで、矩形波のデータを取った場合を考える。実際には、矩形波にノイズが乗っている。矩形波の波高を算出すために、rootを使って平らな部分を直線でフィットした。 フィット結果には、誤差がついているが、この誤差は、どのように算出されたものか、述べよ。 | ||
- | ====== 宿題-4 ====== | + | ====== 問題-4 ====== |
- CCQE反応の'Q'の意味を述べよ。 | - CCQE反応の'Q'の意味を述べよ。 | ||
- 中性子の寿命を述べよ。 | - 中性子の寿命を述べよ。 | ||
- NEUTのntupleないしtreeを用いて、CCQE反応について、μの運動量、角度からEνを再構成(Reconst. Eν)せよ。Reconst Eν - True Eνの分布を作り、その分布の形について考察せよ。CC-nonQEについても、同じように分布を作るとどうなるか? | - NEUTのntupleないしtreeを用いて、CCQE反応について、μの運動量、角度からEνを再構成(Reconst. Eν)せよ。Reconst Eν - True Eνの分布を作り、その分布の形について考察せよ。CC-nonQEについても、同じように分布を作るとどうなるか? | ||
- | ====== 宿題-5 ====== | + | ====== 問題-5 ====== |
- ニュートリノは実験的にどうやって発見されたか。 | - ニュートリノは実験的にどうやって発見されたか。 | ||
- 1964年に、クローニンとフィッチが発見したのは何か。 | - 1964年に、クローニンとフィッチが発見したのは何か。 | ||
- 陽子シンクロトロンの固定標的実験で反陽子を作るには、どのくらいのエネルギーが必要か。また計算した後で、Segre/Chanberlainの原論文 Phys. Rev. 100, 947(1955)のFig.5を見て説明せよ。 | - 陽子シンクロトロンの固定標的実験で反陽子を作るには、どのくらいのエネルギーが必要か。また計算した後で、Segre/Chanberlainの原論文 Phys. Rev. 100, 947(1955)のFig.5を見て説明せよ。 | ||
- | ====== 宿題-6 ====== | + | ====== 問題-6 ====== |
- π0の崩壊では、2γ生成が主でπ0->e+e-がほとんど起きない理由を述べよ。π+の崩壊と対比しながら考えよ。 | - π0の崩壊では、2γ生成が主でπ0->e+e-がほとんど起きない理由を述べよ。π+の崩壊と対比しながら考えよ。 | ||
- π0->e+e-は実験的にどうやって測ったか?もっとも感度の良い測定方法は?(注)この専門家(Ph.D.テーマ)の人がT2Kをやってます。 | - π0->e+e-は実験的にどうやって測ったか?もっとも感度の良い測定方法は?(注)この専門家(Ph.D.テーマ)の人がT2Kをやってます。 | ||
- | ====== 宿題-7 (Cabbiboを追悼して) ====== | + | ====== 問題-7 (Cabbiboを追悼して) ====== |
- Cabbiboの最も有名な業績を述べよ。 | - Cabbiboの最も有名な業績を述べよ。 | ||
- GIM機構とは何か述べよ。 | - GIM機構とは何か述べよ。 | ||
- Kobayashi-Masukawモデルによる最も有名な予言は? | - Kobayashi-Masukawモデルによる最も有名な予言は? | ||
- | ====== 宿題-8 ====== | + | ====== 問題-8 ====== |
中性子の断面積は、低エネルギーでは数十barnにもなる。しかし、我々は、核子の大きさが1fm程度であることを知っている。なぜ、1fm程度の大きさしかない中性子が数十barnもの断面積を持ちえるのか、述べよ。(詳しい相互作用についても質問ではなく、もっと簡単な質問です。) | 中性子の断面積は、低エネルギーでは数十barnにもなる。しかし、我々は、核子の大きさが1fm程度であることを知っている。なぜ、1fm程度の大きさしかない中性子が数十barnもの断面積を持ちえるのか、述べよ。(詳しい相互作用についても質問ではなく、もっと簡単な質問です。) | ||
- | ====== 宿題 9 (Van Der Meerを追悼して) ====== | + | ====== 問題 9 (Van Der Meerを追悼して) ====== |
Van Der Meerがノーベル賞を受賞したのは、どのような功績に対してか? | Van Der Meerがノーベル賞を受賞したのは、どのような功績に対してか? | ||
- | ====== 宿題 10 ====== | + | ====== 問題 10 ====== |
- 地球の裏側で生成された大気ニュートリノのうち、電子ニュートリノは、(θ13がなくても)θ12によって振動する。この時、太陽内部で起きているように地球内部でもMSW効果により共鳴が起きて最大混合を起こすことがある。ρ=5g/cm3として、共鳴を起こすエネルギーを求めよ。(答え ρ=5g/cm3の時の値かわからないが、文献によるとマントルでは0.08GeV) | - 地球の裏側で生成された大気ニュートリノのうち、電子ニュートリノは、(θ13がなくても)θ12によって振動する。この時、太陽内部で起きているように地球内部でもMSW効果により共鳴が起きて最大混合を起こすことがある。ρ=5g/cm3として、共鳴を起こすエネルギーを求めよ。(答え ρ=5g/cm3の時の値かわからないが、文献によるとマントルでは0.08GeV) | ||
- 1で共鳴を起こすのは、ニュートリノか反ニュートリノかを述べよ。 | - 1で共鳴を起こすのは、ニュートリノか反ニュートリノかを述べよ。 | ||
- | ====== 宿題 11 ====== | + | ====== 問題 11 ====== |
宿題Xに続いて、では、θ13による振動でのMSW共鳴条件は?その時、mass hierarchyの違いにより、どのような違いを生じる? | 宿題Xに続いて、では、θ13による振動でのMSW共鳴条件は?その時、mass hierarchyの違いにより、どのような違いを生じる? | ||
- | ====== 宿題 12 ====== | + | ====== 問題 12 ====== |
$K_L→π^0\nu\bar{\nu}$は、どうCPが破れている反応なのか | $K_L→π^0\nu\bar{\nu}$は、どうCPが破れている反応なのか | ||
- | ====== 宿題 13 ====== | + | ====== 問題 13 ====== |
Bethe-Blochのエネルギー損失の公式で、dE/dxが | Bethe-Blochのエネルギー損失の公式で、dE/dxが | ||
- 低エネルギー側で急激に増大する理由 | - 低エネルギー側で急激に増大する理由 | ||
ライン 53: | ライン 53: | ||
を述べよ。 | を述べよ。 | ||
- | ====== 宿題 14 (Bruce Winsteinを追悼して) ====== | + | ====== 問題 14 (Bruce Winsteinを追悼して) ====== |
宇宙背景輻射の温度は2.7Kである。\\ | 宇宙背景輻射の温度は2.7Kである。\\ | ||
宇宙初期に生成されたニュートリノは、宇宙背景輻射がdecoupleするよりもさらに前にdecoupleして、宇宙背景ニュートリノとして存在しているはずであるが、その温度は、2Kと予想されている。\\ | 宇宙初期に生成されたニュートリノは、宇宙背景輻射がdecoupleするよりもさらに前にdecoupleして、宇宙背景ニュートリノとして存在しているはずであるが、その温度は、2Kと予想されている。\\ | ||
なぜ、宇宙背景輻射よりも昔にdecoupleしたニュートリノの方が温度が低いのか? | なぜ、宇宙背景輻射よりも昔にdecoupleしたニュートリノの方が温度が低いのか? | ||
- | ====== 宿題 15 ====== | + | ====== 問題 15 ====== |
$\pi^+$は、$\mu^+\nu_\mu$に二体崩壊するので、原理的には、$\pi^+,\mu^+$の質量と、$\mu^+$の運動量から$\nu_\mu$の質量の直接測定ができる。 | $\pi^+$は、$\mu^+\nu_\mu$に二体崩壊するので、原理的には、$\pi^+,\mu^+$の質量と、$\mu^+$の運動量から$\nu_\mu$の質量の直接測定ができる。 | ||
- このとき、測定する$\nu$の質量と、$\Delta m^2_{ij}$の関係は? | - このとき、測定する$\nu$の質量と、$\Delta m^2_{ij}$の関係は? | ||
ライン 64: | ライン 64: | ||
- 運動量を無限に精度良く測定できたとして、$\nu$の質量の測定精度に原理的な限界はあるか? | - 運動量を無限に精度良く測定できたとして、$\nu$の質量の測定精度に原理的な限界はあるか? | ||
- | ====== 宿題 16 ====== | + | ====== 問題 16 ====== |
核力の間のアイソスピン対称性を仮定すると、陽子と中性子は、同種粒子の違う状態(アイソスピンの向きが上向きと、下向き)とみなすことができる。pp,nnでは結合状態が存在しないが、pnではbound state(deuteron)が存在することを、アイソスピン対称性の観点から説明せよ。 | 核力の間のアイソスピン対称性を仮定すると、陽子と中性子は、同種粒子の違う状態(アイソスピンの向きが上向きと、下向き)とみなすことができる。pp,nnでは結合状態が存在しないが、pnではbound state(deuteron)が存在することを、アイソスピン対称性の観点から説明せよ。 | ||
- | ====== 宿題 17 ====== | + | ====== 問題 17 ====== |
高電圧の放電を避けるために、極板間に誘電体を挟むと、かえって放電しやすくなることが多々ある。その理由を述べよ。 | 高電圧の放電を避けるために、極板間に誘電体を挟むと、かえって放電しやすくなることが多々ある。その理由を述べよ。 | ||
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+ | ====== 問題 18 ====== | ||
+ | Plankスケールエネルギーの衝突型線形加速器をILCの加速勾配(35MV/m)で作ると、長さはいくらになるか?また周回加速器の場合、ベンディングの磁場の強さを2Tとして直径を求め、1周あたりのシンクロトロン放射によるエネルギー損失を求めよ。 | ||
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+ | ====== 問題 19 (by T.Sumida) ====== | ||
+ | Wボソンの崩壊分岐比を調べ、弱い相互作用の性質をふまえて何故(おおまかに)そのような値になるのか理解せよ。 | ||
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+ | ====== 問題 20 ====== | ||
+ | 静止標的中の電子に加速した陽電子を入射する。μ+μ-を生成するのに必要な陽電子のエネルギーを求めよ。その閾値で生成されたμ+ないしμ-の縦運動量、横運動量を、重心系での散乱角が0°、90°、180°の場合について、それぞれ求めよ。\\ | ||
+ | [[https://doi.org/10.1016/j.nima.2015.10.097|"Novel proposal for a low emittance muon beam using positron beam on target",M. Antonelli, Nucl.Instrum.Meth. A807 (2016) 101-107]]より。 | ||
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+ | ====== 問題 21 (メディアの方の素朴な質問から) ====== | ||
+ | νμと反νμを同時に生成し、衝突させる。 | ||
+ | 確率は小さいけれど、Sチャンネルで反応し、フェルミオン対を生成するだろう。 | ||
+ | ニュートリノ振動により、この反応確率は変化するか? | ||
+ | 特にCP対称性が破れている場合は? | ||