T2K(東海ー神岡長基線ニュートリノ振動実験)

2009年4月に実験が開始されました。
未発見のミューオンニュートリノから電子ニュートリノへの振動モードの発見を最大の目標として、 東海村に建設中の大強度陽子加速器(J-PARC)から295km離れたスーパーカミオカンデに向けてニュートリノビームを飛ばします。

京大ニュートリノグループでは、

を中心に、現在主にニュートリノビームの制御及び振動前の状態を測定するための ミューオンモニタ/前置検出器群の設計・開発の中心部隊として研究を行っています。 これらの研究においては、特に大学院生が国際実験の最先端で活躍しています。

以下は、私が主にやってきた研究。

ミューオンモニター

ミューオンモニターは、π中間子の崩壊からニュートリノと共に生成されるミューオンを検出することで、 ビームの強度や方向、広がりなどの情報を得るための装置です。 検出しにくいニュートリノの代わりにミューオンを検出することにより、 ニュートリノビームの状態をリアルタイムで監視できる唯一の装置です。

ミューオンモニター写真集
MUMONのパイオニア、黒澤君 2005年10月、第一回ビームテストでの松岡君
Coming soon
米国・フェルミ研での長期テスト実験、T968のための検出器インストール チェンバー製作中(写真探索中)
ミューオンモニターの架台を検査する松岡君 シリコン検出器を取付ける久保君と村上君
ピットへのインストール記念写真 MUMONでのファーストシグナル

INGRID検出器

ミューオンモニターは、リアルタイムに情報が得られるという利点はありますが、 ビームに含まれるミューオン以外の粒子の影響をさけるため分厚い壁の後ろに置かれていて、 ビームの中でかなりエネルギーの高い一部にしか感度がありません。 ミューオンモニターが間接的にビームを監視するのに対し、 ニュートリノ自身を使ってダイレクトにビームの状況を知るための装置がINGRIDです。
ニュートリノは反応確率が低いため、T2Kの大強度ビームを使っても一発ビームを打ったとき 前置検出器の位置(標的から280m)で反応するニュートリノは10トンの物質を置いて一個くらいです。 また、ニュートリノビームの広がりは前置検出器の位置で10mくらいにもなります。 大質量かつ大面積が必要になる一方で、現実的な予算で検出器を作らなくてはいけません。 INGRIDは、鉄標的と検出器をサンドイッチ状に挟んだモジュールをグリッド状に並べたデザインでこの要求を満たしています。

INGRID写真集
プロトタイプのビームテスト KEKPS-T575 (2005年) この頃はまだNGridという名前。 米国フェルミ研でのシンチレータ製作(写真探索中)
Coming soon Coming soon
ファイバーを切る新田君(写真探索中) 何かいい写真があれば。。。
シンチレータ層作りの指導をする南野君(左)。 完成したシンチレーター層の試験をする大谷君。
完成した最初のモジュール。 ホールにインストール後の記念写真。

新型光検出器MPPCの開発

INGRIDを初めとするT2K前置検出器では、MPPC (Multi-Pixel Photon Counter)と呼ばれる新型の光検出器を採用しています。

MPPC写真集
MPPCの大量試験をする家城君。