中性K中間子稀崩壊実験。崩壊モードのイベント観測と、分岐比の精密測定を目指しています。
分岐比を測る事で、ユニタリー三角形の高さを決定することができます。
実験の行われる場所はニューヨーク郊外の
BNL
(BROOKHAVEN NATIONAL LABORATORY)です。
BNLの加速器
AGS(Alternating Gradient Synchrotron)は
巨大なRingを持ち、一つのパルスあたり25 trillionの陽子を加速する事ができます。
KOPIO実験の他にも様々な実験グループが実験を行っています。
KOPIO実験では、AGSで作られた陽子をターゲットに衝突させ、そこで生成されたK中間子ビームを使います。
K中間子は様々なモードに崩壊し、
KOPIO検出器でこれらのイベントを検出します。
KOPIO検出器は、様々な目的を持った検出器から成ります。
γ線の方向とエネルギーを測るPreradiatorや、Calorimeter、
高い検出効率を持つγ線VETO検出器、荷電粒子VETO検出器、
荷電粒子の軌道を変えるためのマグネット、
ビーム中のγ線を検出するためのチェレンコフ閾値型検出器などがあります。
中性K中間子稀崩壊モード
K
L→
π
0ν
ν
のイベントである条件は「π
0からの2γと他には何もない」です。
π
0は約99% 2つのγ線に崩壊します。
ニュートリノは観測できないため、このイベントを見付けるためには、
2つのγ線を確実に検出し、他には何も信号がないことを確認する必要があ
ります。
そのためKOPIO検出器は、崩壊領域全体をγ線検出器と荷電粒子検出器によって覆われており、
Background(K
L→π
0ν
ν以外のイベント)となる様々な崩壊モードと、
観測したいイベントを確実に区別する試みがなされています。
中性K中間子稀崩壊は分岐比が10
-12程度で、検出が非常に困難なため、
各検出器には高い検出効率が求められます。
また、K
Lの
運動量や、γ線のエネルギー、位置、時間情報、方向を測定することで、
運動学的にBackgroundを除去できることもKOPIO実験の大きな特徴です。
通常中性粒子の運動量を測る事は困難です。
なぜなら電荷を持たないため、物質との電磁相互作用をしないからです。
しかしKOPIO実験では、マイクロバンチと呼ばれる非常に鋭い時間構造を持った
ビームを用いることで、中性粒子であるK
Lの運動量測定を可能にしています。
それに加えて、測定の難しいγ線が飛んで来た方向を測定することで
様々な運動学的カットを可能にしています。
現在は、
R & D (Research & Development)の段階で、
2005年の建設開始と
2009年からのデータ収集を目指しています。
しかし残念ながら2005年8月11日、US National Science Foundation(NSF)により
KOPIO実験を含むRare Symmetry Violationg Processes(RSVP)の
terminationが決定されました。
NSP News
KOPIO Web page(Look at RSVP Canceled)
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